レジメ  『人間失格』 太宰 治著

       2013.7.8 なごやか読書クラブ 清水悦子

<構成> はしがきと3つの手記。あとがき。主人公葉蔵と作者。

<はしがき>

写真3葉。

 第I葉―幼年時代。

    「笑顔でない」「なんていやな子供だ」「まことに奇妙なそうして、ど

     こかけがわらしく、へんに人をムカムカさせる表情」 

 第2葉―学生時代。

    「美貌だが怪談じみた気味悪いもの」

 第3葉―年の頃がわからない。

    「最も奇怪」

    「不吉なにおいのする。ぞっとさせいやな気持ちになる」。

<あらすじ>

第一の手記

 書き出し「恥の多い生涯を送って来ました。」→ひと言で集約。

「互いにあざむき合って、しかもいずれも不思議に何の傷もつかず、あざむき

 合っている事にさえ気がついていないみたいな、実に鮮やかな、それこそ清

 く明るくほがらかな不信の例が人間の生活に充満しているように思われます」

「あざむき合っていながら、清く明るく朗らかに生きている、或いは生き得る

 自信を持っているみたいな人間が難解」

「道化」→「自分の人間に対する最後の求愛」「わずかに人間につながる事が出

 来た」「お道化のサーヴィス」

第二の手記

 中学入学。竹一。「ワザワザ」。竹一の「女に惚れられる」「偉い画家になる」

 の2つの予言を刻印して上京。高等学校入学。堀木に会う。非合法活動。女

 給ツネ子と鎌倉の海へ入水。ツネ子は死亡。起訴猶予。

第三の手記

 粗悪な雑誌の無名の下手な漫画家。5歳の女児シゲ子の母、雑誌記者シヅ子

 との同棲。スタンド・バア女性との同棲。タバコ屋のヨシ子(信頼の天才)
 と内縁関係。自殺未遂。薬局の奥さん。モルヒネ中毒。精神病院入院。狂人、

 廃人、人間失格。「もはや、自分は完全に人間で無くなりました」父の死。

60に近いひどい赤毛の醜い女中テツとの同居。

「いまは自分には、幸福も不幸もありません。ただ、一さいは過ぎて行きます。

 自分がいままで阿鼻叫喚で生きて来た所謂「人間」の世界に於いて、たった一

 つ、真理らしく思われたのはそれだけでした。ただ、一さいは過ぎて行きます」

<あとがき>

「私たちの知っている葉ちゃんは、とても素直で、よく気がきいて、あれでお酒さへ飲まなければ、いいえ、飲んでも、神様みたいないい子でした」

<年譜・主なもの>「人間失格」(角川文庫・小野才八郎編)

1909(M42)619日、青森県津軽郡の大地主の6男として出生。

1928(S3)19歳 小山初代と親しくなる。

1930(S5)21歳 東大入学。小山上京後帰郷。女給と心中。起訴猶予。

1931(S6)22歳 小山と同棲。非合法活動従事。

1932(S7)23歳 青森警察署へ自首。非合法活動を離れる。

1933(S8)24  「思ひ出」

1935(S10)26歳 鎌倉山で絵死を企てる。入院。パピナール中毒。

1936(Sll)27歳  芥川賞落選。ショックを受ける。

1937(S12)28歳 小山と心中はかるが未遂。小山と離別。

1939(S14)30歳 石原美知子と結婚。「富嶽百景」「女生徒」

1940(S15)31歳 「走れメロス」「駈け込み訴え」

1943(S18)34歳 「右大臣実朝」

1944(S19)35歳 「津軽」

1947(S22)38歳 太田静子を訪問。「斜陽」山崎富栄と知り合う。

1948(S23)39歳 「人間失格」「グッドバイ」未完。623日山崎と

玉川上水に入水。19日遺体発見。桜桃忌となる。

            

<感想>

★永遠に青春の書

 思春期、青春期の孤独感、不安感、人間不信、恋、愛などを巧みに描き共感を よぶ。特に、人間を信じようとするも信じられない不安感の描き方が見事。

 尾崎豊と共通する。

★文章が上手。流れるように書き、すらすら読める。

★滅びの文学

「右大臣実朝」

 アカルサハ、ホロビノ姿デアラウカ。人モ家モ、暗いウチハマダ滅亡セヌ

「斜陽」

 人間は恋と革命のた桝こ生れて来たのだ

「走れメロス」

 私は生まれた時から正直な男であった。正直な男のままで死なせて下さい。

★実生活の体験を書いている。のめりこんでいるように見えるが客観的。

 実生活では、最後は死ぬことを予想しなかった?

             ホーム へ